NTT が構築してきたインフラ網として,公衆電話網,地域 IP 網,そして NGN がある。
たとえば公衆電話では電話番号がそのままルーティングに活用されており,電話交換機の仕組みと市外局番・市内局番の関係を調べると実に面白い。
また,地域 IP 網によってブロードバンドが提供されるようになっても,効率性や合理性の観点から,ISP によっては PTR で逆引きすることによってある程度はグローバルアドレスから県ぐらいまでの特定は可能なようだ。これは,昔のフレッツ網は県間通信が制限されていたため,特定の県内網にしか出口を持たない ISP が居たり,あるいは全国でサーヴィスを提供する ISP であっても県内網ごとにネットワークの出口を設けていたためである。
さて,では NGN ではどうだろう。
NGN では IPv6 が割り振られ,近年は IPoE の利用によって NGN から払い出されるアドレスで直接インターネットに接続できるようになった。
このインターネットに接続できる IPv6 アドレスは,IANA から RIR(地域インターネットレジストリ)の APINC,NIR(国別インターネットレジストリ)の JPNIC,そして LIR(ローカルインターネットレジストリ)である指定事業者に払い出され,そこから ISP に払い出されることになっている。IPoE の VNE は指定事業者である。 https://www.nic.ad.jp/ja/ip/member/cidr-block-list.txt
この VNE が管理する IPv6 プレフィックスは /30 である。このプレフィックスは NGN 内のサーバーに預けられており,払い出しや実際の割り振りの管理は NGN 内で実施されることになる。なので,ルーティングなどの合理性からいっても,地理的に近いユーザーは似たようなアドレスが払い出されるだろうということが想像できる。
実際に私の手元に降ってきている IPv6 プレフィックスはひかり電話契約有りなので /56 なので,そのような物理的な地理に基いたアドレス分けに利用できる長さは 56-30 = 26-bit ということになる。
さて,実際に IPv6 プレフィックスはどういう管理がなされているのか,実は判明しているらしい。
都道府県の識別は 2bit(東京)~8bit(島根、鳥取)の可変長。 都道府県~収容局~エッジルーターまでで合計 13 bit。都道府県が短いところほど、その分収容局~エッジルーターにたくさん割り当てられる。 エッジルーター内の回線はその後の 13 bit で識別できる。
実際に自分に払い出されている IPv6 プレフィックスを確認する,なるほどどうやらこれは合っているようにも思えるが,どうだろうか?
しかし自分の故郷である山陰が 8-bit の識別 ID になっているというのも,つまり人口の少なさ(=加入者の少なさ)を反映しているのであろう,納得ではあるがとても悲しい気持ちになった。